個人スタッツページのGPMタブの解説です。GPMはRAPMの計算をベースにした指標なので、先にRAPMのページを読んでおくとわかりやすくなります。
GPMとは
GPM(Guesstimated Plus-Minus)は、本サイトimpactmetrics.jpが独自で開発しているオールインワンメトリクスです。 単位はRAPMと同じで100ポゼッションあたりのチーム得失点差に対する影響力ですが、GPMはRAPMとは違ってボックススコアのデータも使います。 1ステップ目の計算はボックススコアだけを元に貢献度(RAPM)を予測し、2ステップ目の計算では1ステップ目の結果をもとにRAPMの計算を行うという、2段階で貢献度を求める手法をとります。 RAPMはサンプルが少ない選手をリーグ平均である0へ引き戻すことをしますが、GPMは0の代わりにその選手のボックススコアスタッツから推定したRAPMの予測値へ引き戻します。
なぜRAPMと別に必要か
RAPMは間違いなく良さがある指標ですが、同時に1シーズンのデータではノイズが大きすぎるという明確な弱点もあります。 そこでボックススコアスタッツを使ってRAPMのサンプルサイズの弱点を埋め、1シーズンのデータのみを使って有益な指標を作ることを目的としているのがPrior-Informed RAPMという種類の指標です。 この手法をとると、ポゼッションデータがある程度揃っている選手はBPM(Box Plus-Minus)から離れてプラスマイナスの結果を反映した値になり、逆にサンプルの少ない選手はBPMに近い値のまま残ります。 このようなオールインワンメトリクスはNBAのアナリティクスコミュニティではさかんに開発が進んでおり、いくつも指標が公開されていますが、GPMは本サイトが開発しているBリーグ版にチューニングをしている指標です。 3シーズン、5シーズンとまとまったデータがあるときにはRAPMはある程度信用できますが、1シーズンのデータのみであればGPMを見る方がいいでしょう。
Step 1: BPM (Box Plus-Minus)
Step 1はボックススコアスタッツのみを使い、各選手のRAPMを一度予測してみるということをします。 使うデータは2PT%、3PT%、FT%などのシュート率や、100ポゼッション毎に揃えたシュートのアテンプト、リバウンド、アシスト、ターンオーバーなどのボックススコアスタッツです。 ただシーズン途中のデータ(特に序盤)はこれらの数値にもまだノイズが大きいので、サンプルが少ない選手をリーグ平均に近づけ、データがあればあるほど結果がより信頼されるような処理をしています。
いくつも用意したボックススコアスタッツですが、これらを一つの値(RAPMの予測値)にまとめるためには重回帰分析を使用します。 B1の2021–22シーズンから2025-26シーズンの5シーズンのRAPMに対して各種ボックススコアスタッツを掛け合わせて重回帰分析を行い、各スタッツの最適な係数(重要度)を求めています。 どのボックススコアスタッツで良い成績を記録した選手がRAPMにおいて上位にくるのか・どのボックススコアスタッツがどれくらい重要なのかといったことを調べます。
BPMは、サンプルサイズの処理をした各種スタッツに上記の係数を掛け合わせてそれらを足し合わせることで算出されます。BPMはオフェンス面(O-BPM)とディフェンス面(D-BPM)のふたつに分けて計算しており、ふたつを足した値が総合的なBPMとなります。
副産物: ポジションの推定値
BPMの計算とは直接関係はないですが、同じような重回帰分析によりボックススコアスタッツからポジションを推定することをします。 ポジションについてはリーグ公式の方で登録ポジションがわかりますが、登録ポジションと実際の役割は違うこともあるのでここで実際のスタッツからポジションはこれくらいだろうという値を数値で出しています。 PG(1番ポジション)からC(5番ポジション)までを、1.0から5.0の値で出すようにしており、そのうえでGuard/Wing/Bigの3つのカテゴリーに分類しています。
| 役割 | 推定ポジションの値 |
|---|---|
| Guard | 2.25未満 |
| Wing | 2.25以上 3.75未満 |
| Big | 3.75以上 |
なお、チーム毎にポジションの推定値の平均が3.0になるように総出場時間に重みを付けて調整をしています。 この1.0~5.0のポジションの推定値はGPMのページでしか見られませんが、役割(Guard/Wing/Big)に関してはサイトの他のページにも載せています。
2ステップ目: GPM (Guesstimated Plus-Minus)
BPMでおおよその貢献度を求めるまでが一段階目。次にラインナップのデータを使って貢献度であるGPMを求めます。 冒頭で述べた通り、この二段階目の計算はRAPMの計算とほとんど同じことをします。 BPMをスタートライン(事前分布といいます)としてRAPMの計算(リッジ回帰)を行うことで、0ではなく各々のBPMの値に向けて縮小をすることができます。 ポゼッションデータが少ない選手は元々のBPMに近い値になり、ポゼッションデータが多い選手はBPMよりもプラスマイナスの結果がより信用されるような値になります。
gWAR
gWAR(Guesstimated Wins Above Replacement)は、Replacement Playerと比べて何勝分上積みしたかを表す指標です。WARは野球では今はメジャーな指標だと思いますが、gWARはバスケでWARを再現しようという試みです。
ここで重要となるのはピタゴラス勝率の式です。
Win% がピタゴラス勝率、Points は得点、Points Allowed は失点で、累乗の9.92はBリーグに合わせて最適化した値です。
GPMはリーグ平均のORTGを基準に100ポゼッション毎の貢献度を測っているため、O-GPM、D-GPMはそれぞれ以下のようにピタゴラス勝率の式に代入することができます。
gWARは、この選手毎のピタゴラス勝率からReplacement Player(GPM -3.0の選手と定義しています)のピタゴラス勝率を引き、その選手が何試合分に相当するミニッツをプレーしたのかを掛け合わせることで求められます。
総出場時間を掛け合わせていることからわかるように、gWARはGPMとは違って貢献の量を見る指標です。
注意点
- GPMは単年のみです。 複数年版はありません。複数シーズンをまたぐ評価にはRAPMを使ってください。
- RAPMとGPMの数値を直接比較しないでください。
- GPMもRAPMと同じく、選手の能力そのものではなく、その起用法で出場した際に試合に及ぼした影響を数値化したものです。チームや役割が変われば数字は動きます。